「100万円あったら何をしますか?」
「中華と洋食どちらが好きですか?」
「あなたの夢はなんですか?」
質問とはとても不思議なものです。
質問されると考える時間の長短こそあれ、思考は一度どの質問に答えるために使われます。
「いや、そもそも100万円なんてあるんだっけ」と考えるよりも先に
「うーん、100万円あったらほしい家電を買うかなぁ」と思考が進んでいきます。
質問には、相手を強制的に思考させる力があるのです。
自分の経験を振り返って見ても、就活のときに
「学生時代一番力を入れたことはなんですか?」と面接官に聞かれたとき、
事前に準備していたものを言いますが、頭の中はその質問に回答することでいっぱいになります。
谷原誠さんという方が書いた『「いい質問」が人を動かす』という本があります。
谷原誠さんのご職業は弁護士だそうです。
この本は谷原誠さんの経験と、体系的に分類された質問の種類、場面ごとの良い質問などが記載されており、
今後私自身が質問をする際の参考にできそうです。
良いなと思った部分は「希少性の原理」など心理学の知識も得ることができる点です。
ただ体験談を書く形式ではなく、なぜそれが有効なのかという知識面も記載されています。
そんな『「いい質問」が人を動かす』の中でなるほどなと思った部分は「誤導尋問」です。
これは「第1章 知りたい情報を楽々獲得する6つのテクニック」の「・だめな質問7つのパターン」と
「第3章 その気にさせる「いい質問」」の「・誤導質問〜知らない間に肯定させる禁断の技術」に出てきます。
>誤導質問というのは、質問の前提に誤った事実を挿入することによって、自分の意図した証言を引き出そうというものです。
atutakeさんのブログより引用させていただきました。
こちらは誤導質問となっていますが、誤導尋問と意味合いは変わりません。
例えば下記のような例が本では出てきます。
検事 「あなたは、被告人が被害者を殴った時、どこにいましたか?」
弁護士「異議あり。誤導尋問です。今の質問は被告人が殴ったことを前提として質問です。」
誤導尋問は、裁判で実施することは禁止されているそうです。
しかし、実生活では禁止されていません。
この例を読んで先日家電量販店にいったときにも誤導尋問が使用されていたことを思い出しました。
大手家電量販店にて、テレビコーナーにいたときのことです。
いくつかテレビの商品説明を受けて、「こちらとこちらどちらが良いですか?」と質問されました。
この質問には「テレビを購入すること」が前提として潜んでいるのです。
恐ろしいのは、こちら側も「買うとしたらどっちがいいかな」と考えてしまっていることです。
賃貸不動産を見に、仲介業者にいったときに同じような経験をしたかたは多いのではないでしょうか。
3件ほど内見をしたあとに不動産屋さんに戻り「3つのうちどれが良いですか?」と質問されたことはないでしょうか。
これも、ピンと来る物件があったかなかったかに関係なく、契約することが前提となっている質問です。
営業として誤導尋問が使用されてしまうとまんまと乗ってしまうかもしれません。
また、それが誤導尋問だと気づいてしまうと、その営業担当者のことが信用できなくなってしまうかもしれません。
営業担当者の方は自身の売上のために仕事をしているわけですからそういったテクニックを使うのは当然といえば当然なのですが。
さて、営業で誤導尋問されたらちょっと不快になりそうですが、仕事においてタスクの依頼にはうまく応用できます。
例えば、あまり気乗りのされないタスク依頼です。
「来週の水曜日までに、営業資料としてこれらのデータをまとめておいて。」
と依頼してしまう場合、依頼される側としては「タスクが増えた」とマイナスな感情になってしまうこともあるかと思います。
ここで、
「来週の水曜日までに、このデータを営業資料としてまとめてほしいんだけど、資料まとめるとしたらどんな工夫をしながら刺さる資料を作る??」
と質問して依頼されるとします。これは、タスクを実施することが前提となっている誤導尋問ですが、
工夫が求められていることから、思考がタスクが増えたことではなく、どう工夫するかに向けることができ
マイナスな感情を持たれることを避けることができるでしょう。
仕事上でも誤導尋問をうまく使っていきたいところです。
『「いい質問」が人を動かす』には他にも色々なテクニックが載っています。
また、章立てが細かいのでかなり読みやすい内容になっています。
ぜひ、読んでみてください。
Kindle unlimitedにもある書籍なのでぜひ